夢の欠片
確かにそうかもしれない。


だけど私はみんなのいるあの場所があったから、今まで生きてこれたのに……


「舞もひなのことすごく心配してた

ここが必要じゃなくなったんなら、ひなのためにも喜んであげなくちゃいけないけど……

そうじゃなくてまた来るようなことがあったらどうしようって……」


舞さん……が?


「美樹のこと……事情知らないで、ひなが来たら危ないだろ?

美樹みたいな目にもう誰も合わせたくないって……
俺も……舞も思ってたから……

だから実は俺……

時間あるときには、あの辺見回りしてたんだ。

だから今日、俺がひなを見つけられてほんとに良かった」


そう言って翔吾は、また私を強く抱き締める。


私があの場所に行かなくなってからも、こんなにも心配してくれてた人がいたなんて……


私は幸せ者だ。


美樹ちゃん……


まだ美樹ちゃんも死ぬには早すぎたよ?


だってあなたがいなくなったことで、傷ついて悲しんでる人がたくさんいる。


美樹ちゃんの痛みは私には計り知れないけど……


でも生きてれば、みんなが美樹ちゃんの支えになったはずだよ?



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