夢の欠片
布団の上でタオルケットを首までかけながら、そっと隣に顔を向ける。
もう寝てるのかな……
畳の上にバスタオルを敷いて横になっている翔吾を眺めながら、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。
夏休みの間、ここに置いてもらえることになったのはいいけれど、翔吾だって親元離れて一人で暮らしてるわけで……
働いているとはいえ、きっとギリギリで生活してるはず。
布団だって当然一組しかなくて……
「はぁぁ……」
私はため息をつきながら、畳に寝そべる翔吾のことを思う。
翔吾はその一組しかない布団を譲ってくれたのだ。
泊めてもらうだけでも有り難いのに、布団まで奪っちゃって、翔吾が風邪でも引いたらどうしよう。
そんなことが気になって、疲れているはずなのに、目が冴えて一向に眠気が襲ってこない。
「はぁぁ……」
何度目かのため息をつくと、隣から翔吾の呆れたような声が聞こえてきた。
「さっきから何ため息ついてんだよ
眠れないのか?」