夢の欠片
「そういえば……

さっき、ただ家を出たわけじゃなくて、目的があるって言ってたけど……

どんな目的なんだ?」


さっきまでとは違う、真剣な声が耳に響く。


心配してくれているのがわかってなんだか嬉しくなった。


翔吾には家出の目的を知っておいてもらいたくて、思いきって口を開く。


「あのね?

私……夏休みの間にお父さんを探したいの」


「お父さんて……本当の?」


翔吾には、今まで父親が3人変わっていることを話していた。


伊丹が4人目の父親になるかもしれないってことは、まだ言っていないけれど……


「うん……私の本当の父親……

それと出来れば2番目の……3歳から三年間暮らした人のことも……」


「3人目の父親はいいのか?」


私の話を聞いて、二人の父親しか出てこないことを疑問に思ったのか、翔吾はそう聞いてくる。


「うん、3人目の人はね……

私が小学校5年生くらいから中学に上がるまで一緒に暮らしたんだ

基本的にはいい人だったのかもしれないけど……

仕事すぐ辞めちゃって、うちのお母さんの収入をあてにしてパチンコ行っちゃうような人でね?

私には全く興味がない人だったから……」


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