夢の欠片
途端に私は恥ずかしくなった。


翔吾は私が思っていたようなことは微塵も考えてなかったんだと落胆する。


やっぱり……私のことは女として見てくれてないんだと改めて思い知らされた。


でも、それでも本当の妹のように私を心配してくれる翔吾が、もっともっと好きになる。


まだ心配そうに覗きこむ翔吾を安心させるために、私はにっこり笑って答えた。


「ありがとう……でも大丈夫だよ!

翔吾には全部知っといてもらいたいから……」


その言葉を聞いてホッとしたのか、翔吾は撫でていた手をそっと引っ込めた。


私は少し名残惜しかったけれど、そんな思いは胸にしまって、話の続きをし始めた。


「だからね?

三人目の父親には特に思い入れはなくて……

ていうかあんまり関わりたくない」


「そうだな?

そんな奴には関わらない方がいいもんな?」


そう……三人目の父親には全く興味がない……


私の血の繋がった父親と……


そして優しかった二番目の父親。


会いたいのはその二人だけ。



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