夢の欠片
「だからね?

本当のお父さんをまずは探してみるつもりなんだ」


「あてはあんのか?」


「うん、お父さんは私が生まれてすぐに離婚しちゃって知らなかったんだけど、小学校に上がったくらいに一度復縁したの

それで三年くらいは一緒に暮らしたかな?

だけどまたうまくいかなくなっちゃって……

でもそのあとも養育費とかちゃんと払ってくれてたみたいで、手紙ももらったことあって……

それに住所も書いてあったから……」


その住所から引っ越されたりしてたら、きっと探すのは難しくなるかもしれない。


でもまずはここに行かなきゃ何も始まらないと思っていた。


「翔吾は明日仕事でしょ?

私のことは気にしないで仕事、がんばってね?」


一人でもちゃんと会いに行けることを翔吾にアピールして、心配させないように釘をさす。


翔吾は「わかった」と言うと、また私の頭をグシャグシャになるほどかき回した。


それから優しく微笑みながら、私に近づいてくる。


「見つかるといいな?おやじさん……」


眠たいのかトロンとした目で見つめながらそう言われて、私の鼓動はどんどん高まっていった。


私はまた恥ずかしくなって、タオルケットを顔まであげると、小さく「ありがとう…」と伝える。


それから慌てて「おやすみなさい」を言うと、翔吾に背を向けて急いで寝たふりをした。


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