もう、ひとりにしない。






すれ違う人に聞いてようやくD棟を見つけ第5実験室を探す。

すると、入り口にあの男が立って待っていた。

ハアハアと肩で息をして彼の前に行くと。

「遅い。なにやってんだ。」

とじろりと睨まれた。

「ご、ごめんなさい、あの、迷ってしまって。」

そう言うあたしの顔を呆れたように見つめて

「運痴のうえに方向音痴ときたか。」

ぐさり、と言ってくれる。

「鍵、早く開けろよ。準備ができないだろ。」

そう言われて、あわてて鍵を開けた。





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