もう、ひとりにしない。






彼は薬品棚から指定された薬品を取り出し並べていた。

それを黙って見ながら、今のあたしと彼にはもうすでに大きな差が出来上がっていて、なんとなく、この差をあたしは覆すことができそうにないと感じた。



無駄のない真摯な姿。

入れ込み方が違う、そう感じた。

すごく、悔しいけれど。



「慣れているのね。」

そう彼に言うと、

「遊びに来ているわけじゃ、ないからな。」

さらっと嫌味を言われた。

「それ、どういう意味?」

洗い終わったビーカーを拭いていた手を休めて聞いた。

その言葉に彼はじっとあたしを見つめたまま、

「そういう、意味。」

と言ってにやり、と笑う。

瞬間カッと顔が赤くなる。

この男!





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