もう、ひとりにしない。
この頃のあたしとソニーの関係は本当に冷え切っていて、研究授業以外口を利くことはなかった。
一度研究授業中に派手なけんかをしてしまい、以後、研究中は喧嘩が禁止となってしまった。
ヒューから硬く戒められているため、ソニーもあたしもそのことにだけは気をつけざるを得なくて。
しかし、彼の態度の辛辣さはエスカレートするばかりで、正直この頃のあたしにはもう限界が来ていた。
どうして、彼はあたしにだけこうも冷たいのだろうか。
あたし、なにか彼にしたのだろうか。
バカなあたしは、この程度のことしか考えなかった。
なにがバカかって、自分の境遇に満足するあまり、実はそれは知らないうちに自分でシールドを張って安心してしまっているとも気が付かずに、自分を拡げた気に、他人のすべてをわかった気になっていたってこと。
今、思い返してもほんとに嫌な女だって思う。
、、、、、あの日。
いつものように研究をしていたのだけれど、あたしが初歩的なミスをやらかしてしまったために、メンバー全員がもう一度始めからやり直すはめになってしまった。
メンバーは何も言わなかったが迷惑をかけたことは本当なので、平謝りで、率先してやり直しをしていた。
「まぁ、よくあることだからね。」
そう、誰かが言っていたのが実はかなりショックだった。
その”よくあること”の原因のほとんどが、あたしだったのだから。
この日はその実験で終わりだったので、終了時間がかなりずれ込んでしまっても、みんなたいして気にも留めず帰って行った。
たった一人除いては。