もう、ひとりにしない。






戸締りを終えたソニーを廊下でヒューが待っていた。

「なんだ、ヒュー。帰ったんじゃなかったのか?」

そう言った瞬間、ソニーに右フックが襲ってきた。

見事ヒットして、どさりとその場に倒れる。

「、、、、、ってぇな。」

たいして痛そうにもしていないソニーは頬を擦りながらヒューを見上げる。

「おまえ、エリーに何したんだ。」

ぎろりとヒューの目がソニーを見据える。

「ヒューには関係ないだろ?」

のろりと起き上がったソニーに、

「、、、、、泣いてたぞ。」

「え?」

「どんなに研究が大変でも、プレッシャーがあっても泣かない子が、泣いてたぞ。、、、何があったか知らないが、女の子を泣かすのは感心しないな。それに、目障りなら構わなけりゃいいのに。」

そう言って盛大にため息を吐きながら腕組をし、更に続ける。

「おまえのは、単なるひがみだろ?見てて、イラつくんだよ。うざいったらありゃしない。」

その言葉にカチン、ときたのかゆらりと動き様、ヒューに殴りかかった。

しかし、ヒューはそれをさらりとかわしながら、ソニーの腹部にショットを決めた。

「がはっ!!!」

その場に蹲るソニーを見下ろして、

「お前がエリーとどうしようが知ったっこちゃないが、チームメイトを扱き下ろすような真似はするな。お前の言うようにチームワークが左右するんだ。言ってるおまえがチームメイトのモチベーション下げてどうするんだってぇの。」

痛みではあはあと息を乱しているソニーにそう言葉を落として、

「目障りなら、もう関わるな。」

そう、きっぱりと言い切って自分の荷物を拾い上げ去って行った。

蹲ったままで後を追うことも出来ないソニーは、そのまま床をガンガン拳で殴りつけた。

怒りに任せたその手は血でにじみ、辺りの空気は彼が放つどす黒い狂気と変わっていた。


しかし、怒りがふっと消えかけて、



「、、、、お前に言われなくたってわかってんだよ。」



はぁ、、、とため息と共に言葉が漏れた。





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