もう、ひとりにしない。
誰かが呼び止めているのを振り切って外へ飛び出したあたしは、涙を止めることもできずに走って走って、人気のない校舎裏へと辿り着き、しばらく、涙に自分をまかせていた。
入学してから、一度も自分の感情を露わにしたことがなかったのに、よりによって最悪の人の前で最悪な形で披露してしまい、あろうことかヒューにまで泣いているところを見られてしまった。
入学してから縁のあったヒューは何かにつけソニーに悪態を吐かれるあたしを気に掛けてくれている。
多くは語らないけれど、ソニーの昔馴染みであるヒューは、あたしとソニーの緩衝材の役割を果たしてきてくれていた。
あんなところを見られてまたヒューを心配させてしまったかも、しれない。
「はぁ、、、、。」
とため息を吐いて辺りを見回せばもうすでに夕闇が立ち込めていて、慌てて時計を見ればすでに6時を過ぎていた。
「やっば!」
そう声を上げて立ち上がり、慌ててホステルへと走って帰る。