もう、ひとりにしない。
2日続けての研究準備で、あたしは早めにランチを摂って、実験室へと行った。
4時限目が終わっても、ソニーは教室の中にいなかった。
それでも、もしかしたら。
もう彼は先に実験室に行っていて、いつもどおりあたしが来るのを眉間に皺を寄せながら待っているんじゃないか、そう思ったら、足はいつのまにか速くなってしまった。
けれど、実験室の前に人影はなくて、少し気の抜けたまま鍵を開け、準備に取り掛かった。
準備は結局、あたし一人で行った。
こんなことは今までで初めてのことだったから、ソニーに何かあったのだろうかと考えたりもした。
「実験室ってこんなに静かだったかな、、、、、。」
普段はまったく気にも留めないことだけれど、よく見れば殺風景で殺伐とした実験室に一人でいることがあたしに少し不安を与えているのかもしれない。
午後の実験が始まってもソニーが現れることはなく、彼が無断で欠席するなんてめずらしい、と口々にみんなが零していた。
本当に、あんなに熱心に授業に打ち込んでいる彼が欠席なんて、信じられなかった。
何かあったんだ、たぶん。
予定通り、今日の実験も終了して一人で後片付けをし始めていたら、かすかに駆けてくる足音が聞こえ、ガッとドアの開く音がした。
その音に反射的に振り返れば、
そこにはソニーが立っていた。
はあはあと膝に手を付いて上がった息を整えている。
片付けの手を休め、急いで彼の元へ行った。