もう、ひとりにしない。








ダニーと友達として付き合いだしてから、彼は毎日あたしの帰りを待っていてくれて、それが、自然と大学中の噂となってしまっていた。


自分の元々の立場というのがあるから、大学内ではなるべく目立たず生活していこうと思っているあたしには、明らかにこの状態はよろしくなさ過ぎで、ダニーに何度も断ってみたものの、彼は、


「ただの友達じゃないからね、僕は。君になにかあったりしたら嫌なんだ。」


そう言って、一向にあたしの気持ちをくんでくれることはなかった。


まあ、こういうことでもないと彼との接点だって持てない訳だから、彼を知るにはちょうどいいのかもしれない。


それにしたって、目立ちすぎにも程があった。


毎日のように聞かれる質問には、あくまで友達、と言い続けているのでルームメイトも他から聞かれればそのように答えてくれていた。


その存在を一番初めに知ったのはチームメイトで、帰りにダニーが待っていてくれているところへ遭遇して、非常に驚かれた。


物凄く気恥ずかしい思いをしているにもかかわらず、チームメイトの前であたしに肩を回してきたりして、その手をやんわりと払ってもお構いなしにあたしの肩を抱いた。


チームメイトからの冷やかしを受けて目を白黒させながら、同時にソニーの視線が気になった。





ダニーと一緒にいるところを見られて不安になっている自分がいる。





それに、あの時の、実験室でのソニーの顔が実はずっと気になっていた。


冷たい人だとずっと思っていたのに、なのにその彼の涙を見てしまってひどく動揺している。





彼の意外な一面なのだろうか。





それとも、あたしが彼のイメージを勝手に作っているだけなのか。









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