もう、ひとりにしない。








いつものように実験室の鍵を閉め、そのまま帰ろうとしたとき、


「仲が良くてよろしいことだな。」


とすれ違い様、ソニーに言われた。


ぴくり、とその場に留まってしまう。


見上げれば彼はじっとこちらを見据えていた。


もう4月半ばを過ぎた夕方は日毎に日の入りが遅くなっていて、ソニーの表情をつぶさに読み取ることができた。




、、、、、ひどく、冷めた、顔。




「ソニーには、関係ないでしょ。」


こちらも負けじと睨み返せば、静かに、


「あいつは、やめておけ。」


そう言われた。





え?



、、、、、なに、


「その方が、身のためだ。」


そう言って、彼は去って行った。




、、、、、問い質す隙をあたしに与えないまま。









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