もう、ひとりにしない。
最後に鍵を開けた部屋、、、。
ここには何も置かれていなかった。
ここを彼の部屋とするつもりでいたので、何も置いていない。
向かいの部屋はわたしの部屋。
家を建てている時は本当に幸せだったな。
いろんな夢をみながら、、、。
でもそれは得体のしれない不安を常に払うために懸命にしていたことだった。
帰ってこないかもしれない男のためにこんな家を用意するなんて、馬鹿げているだろう。
でも、あのときのあたしはどこか均衡がとれていなくて、この家を造ることで何とか精神を保っていたように思う。
窓を開け放ち、外を見る。
あの人はこの部屋を気に入ってくれるだろうか?