もう、ひとりにしない。
なぜ、彼は日本語で話したのか?
それは、わたしはもともと日本人だからだ。
15歳まで日本に住んでいた。わたしの父はフランス人、母は日本人だ。
父のフランスでの立場は公爵で貿易を軸としたビジネスをアジア圏でも展開。
極東の足場とする日本で、職業を同じくする母方の祖父と出会い、同時に母に一目惚れ。
熱烈な父のアプローチを長いこと母は無視し続けていたのだが、ひょんなことから父の人柄を垣間見て、ようやく母もその気になってきたときに祖父が他界し、祖父の事業を父が救い上げたことから、父の恋はようやく実った。
そして、長い日本滞在ですっかり親日家になってしまった父はフランスへ帰ることはほとんどなくなり、日本を拠点としていまも母と揃って健在である。