もう、ひとりにしない。


「ここでか?」

「ううん、あたしの家で。うちへ来て?ソニー。」

そう言って、立ち上がり東屋からパーキングへ行く。

車のキーを差し込み、運転をする。

そのあいだ、終始、無言でいた。

何を話したらいいのか、何から話したらいいのか、見当さえもつかずに、車を運転していた。

家の前に車を止めると、

「でかい家だな。」

そう口にした。

どうぞ、そう言って、鍵を開けて中に入る。

「大きな家を建てたのには、理由があるの。」

そう言いながらわたしの部屋の前のドアを開けた。
< 61 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop