もう、ひとりにしない。
「君、家で料理作らないのか?」
あきれ目で聞いてくる。
車に乗り込んでエンジンを掛けながら、
「ほとんど、作ったことないわねえ。普段は不規則すぎるし、休みの時は外へ食べにいくか、ターナーの家にお邪魔しちゃうから、作るチャンスもないし、気力もない。」
開けた窓に肘をついて頬杖で信じられない、というジェスチャーをしている。
「昔はよく、作っていたろ?あれは、どうしたんだ?」
「どうって、、、。作る時間と、作り甲斐があればとっくに作っているわよ。自分が食べるためだけに作るのってつまらないのよ。、、、、ソニー、自分で車を運転するのなら早く道を覚えた方がいいわ。この道路を真っ直ぐ走るとこの街で一番大きなショッピングモールにつくわ。車は専用のパーキングへ置いて、あとは歩いて回るのよ。」
そう言えば、
「ああ、分かっている。いま、頭の中に叩き込んでいるところだよ。」
忘れていた、この人の情報収集能力の異常に高いことを。
これが、彼を周りから超特待生と言わしめた能力のうちのひとつなのだ。
学生の時に散々驚かされて、悔しい思いもし、なおかつそれが尊敬へと変わっていったのだ。