もう、ひとりにしない。
部屋に戻ってみると、ソニーは窓際の椅子に座り、何かを読んでいた。
足を組んで、肘を肘掛に突いて頬杖を突きながらかなり集中して本を読んでいた。
時々窓から入り込んでくる夜風が気持ちよさそうで。
「何を読んでいるの?」
と、覗き込むと、それは医学書だった。
すると、彼はすぐ本を閉じ、立ち上がってあたしの手を握り、ベッドへと誘う。
全開にしてあった窓を半分閉め、室内の照明を消す。
そのあと、シェードランプをゆるく灯した。
互いにベッドに腰掛けたまま、見つめ合う。
彼の、目も、耳も、鼻も、口も、髪の毛も、ゆっくりと見ていく。
あの時から、更に大人びてはいても、なにも変わっていなくて。
同じようにあたしを見つめている彼の目と合った。
うれしさと、戸惑いと、恐れと、そして妖しさに揺れるソニーの瞳があたしを見つめていた。
顔を隠しそうになっていたあたしの髪をゆっくりと手で梳く。
、、、、、かすかに震えていたのは、気のせいだったのだろうか。
その手はあたしの頬をなで、ゆっくりと肩へ、背中へと回っていく。
そして、あたしを抱きしめキスをした。
それが、合図、あたしの気持ちの蓋を開ける鍵となった。