もう、ひとりにしない。
いつの間にか、二人とも眠りに落ちて気がつくとカーテンが白み始めていた。
うすぼんやりとした頭のまま、そのカーテンを黙ってみていると、隣からはまだ規則的な寝息が聞こえてくる。
夢でもなく、幻でもない、彼がいま、あたしの隣で休んでいる。
彼を起さないように、おずおずと体の向きを変えて、彼の顔を見る。
昔とほとんど変わることのない、整った顔立ち。
精悍さをあのときからさらに増したその顔は昔と同じように時折、無邪気な笑顔を向ける。
それでも、、、、、。
ゆうべ、彼との最中に彼の体を見て、
その、無数の傷跡を見てしまってから。
あたしの知らない彼がここにいるんだ、そう思わせた。
気持ちは変わらない、それはあたしも同じだ。
でも、それでも、あたしの知らない、あたしが傍にいなかった彼がきちんといて、帰って来てくれたからそれで終わりなんじゃない。
そう思わせた。
無邪気に夢の中にいる彼に、そっとキスを落とし、ゆっくりベッドから抜け出す。
さっとシャワーを浴びて、普段着を身に纏い、キッチンへ降りる。