昔の風
3
タクシーから見える家の明かりに以前は舌打ちしたくなる気分になった。それが美春と会った後なら尚更だ。
匂いを気にしたり、美春がわざと痕跡を残しているんじゃないかとスーツやズボンのポケットをチェックしたこともあった。
今日も家の明かりが見える。玄関の扉を開けるとテレビの音が聞こえてきた。
「起きていたのか」
居間のソファに真紀は座っていた。
「えぇ」
真紀は俺と目を合わせずに答えると、ソファから立ち上がり台所へ向った。家の中を見回すと、朝テーブルに放り投げた新聞がラックに片付けられている。いつも過ごしている家の中を改めて見てみると、知らない世界のような気がしてきた。
匂いを気にしたり、美春がわざと痕跡を残しているんじゃないかとスーツやズボンのポケットをチェックしたこともあった。
今日も家の明かりが見える。玄関の扉を開けるとテレビの音が聞こえてきた。
「起きていたのか」
居間のソファに真紀は座っていた。
「えぇ」
真紀は俺と目を合わせずに答えると、ソファから立ち上がり台所へ向った。家の中を見回すと、朝テーブルに放り投げた新聞がラックに片付けられている。いつも過ごしている家の中を改めて見てみると、知らない世界のような気がしてきた。