あの子の話
部屋に入って鞄を下ろす。
通称[談話室]と呼ばれるこの部屋には、その名の通り談話用のソファと重そうなテーブルが置いてある。
隣にはまた別に部屋があって、そこはキッチンになっている。
このキッチンを使っているのは先生くらい。
コーヒーをいれたりお弁当箱を洗ったりと案外使用頻度は高く、先生の第二の家と化している。
ちなみに、このキッチンには教室の方からも入ることが出来るが、やはり、生徒が使うことはないため、先生以外の誰かがそちらから談話室の方に入ってくる恐れはない。
...テーブルに鞄を乗せ、理科のテキストを出す。
いつものポジションに座ると、少し安心した。
ふぅ、と息を吐いてテキストを開く。
よし、集中しよう。