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困っている人に見向きもしないで通りすがる彼
非常識と思い声をかけてしまいました
「あの、、、傘がないんですけど」
するとその人は言いました
「君がほしいのはほんとに傘か?
僕にはそうは思えない
知ってる?
この雨を待ち望んでる人もいるんだぜ
乾いた喉を潤すんだ
生きるために」
彼は持っている傘を開かず外に出ました
雨に打たれて濡れていく中
その人は笑顔なのです
「傘なんてなくてもいいじゃん
化粧が落ちたって
服が濡れたって
最悪風邪をひくだけだ
」
その人は何よりも美しく
何よりも儚く
そしてその瞳に曇りはなかった
手を私に伸ばし
私はその手を掴み
その人のいる世界へと飛び出したのです