勝手に好きでいさせて
【side伊久斗】

チッ・・・チッ・・・

今は恋歌と2人きり。

なんか何話していいのかわからねぇ。

「あぁ、そういえば、伊久斗カノジョとラブラブなんだね」

2人きりなのにその話を始めるなよ。

「昨日、一緒にお昼食べたんでしょ。いいな~、そういうの。私も彼氏ができたらそんなことしたいな~。朝からはりきってお弁当を2人ぶんつくって、屋上で仲良く食べるんだ。・・・あぁ、でもその前に私かわいくないから彼氏できないっか」

お前はかわいいよ。

お前に対する自分の気持ちに気づいたら誰かにとられてしまいそうで怖いんだよ。

でも、これはまだ言えない。

ちゃんとやることやってから恋歌に言うんだ。

「なんで、何も言ってくれないの?」

「いや、なんか・・・緊張して」

恋歌の部屋で、恋歌と2人っきりって緊張しちまう。

「ふぇ…ひっく…うぅぅ…」

「えっ、恋歌どうした?」

泣かれると抱きしめたくなるじゃねぇか。

でも、今はダメだ。

「ううん、何でもないよ。ごめんね」

恋歌はそう言って、目をゴシゴシこする。

お前、昨日も泣いてたんだろ。

泣いてるのは俺のせいなのか?

泣いてる恋歌もかわいい。

あぁ、やっぱり無理。

ーガタッ

俺は恋歌を抱きしめた。

恋歌を俺のものにしたい。

でも、俺には今彼女がいるんだ・・・。

だけど、今だけはこうしていてもいいよな・・・。

しばらくしたらちゃんとすることしてから恋歌に言うから。

今は許して、神様…。
< 21 / 64 >

この作品をシェア

pagetop