勝手に好きでいさせて
「ごめんね、伊久斗くん」
しばらくして梓沙が泣き止んで顔をあげた。
「自分勝手だよね、お兄ちゃんに捨てられるから、お兄ちゃんにそっくりな伊久斗くんに自分の気持ちを押し付けるなんて・・・」
「ごめん、俺今は何も考えらんない」
「そうだよね、こんな話しさせられても困るよね・・・・・・・・伊久斗くん、私のわがままにもう少し付き合ってくれない?」
「・・・」
「もう、しばらくだけ・・・お願い・・・・」
今、学校へ向かって梓と歩いている。
泣きはらした梓沙の目を冷やしてから、学校へ来ている。
俺は梓沙のお願いを断る気になれずに、もうしばらく梓沙と付き合うことにした。
自分の性格をとても恨む・・・。
でも、まだうまく頭のなかでいろいろと整理ができていない・・・。
だから、俺は梓沙を教室まで送って、俺は屋上に行った。
屋上に行くと、麻優がいた。
「今日はずいぶんと遅い登校だな」
そう言って笑っている麻優。
「梓沙と何があったんだ?」
麻優はいつもヘラヘラしてるけど、俺の変化には結構気づく。
親友ってこういう時、いてくれて良かったと思える。
「なんで、お前がここにいるんだよ」
「いや、伊久斗がずっと来ないなと思って、窓の外見たら、何か考え込んで梓沙と歩いてくる伊久斗がいたから、あの様子は屋上に行くなと思って、来てた」
「あぁ~、そうなんだ・・・」
「で、何があったんだ?」