勝手に好きでいさせて
【side伊久斗】
「うっ・・・」
俺の部屋?
いつの間にか家についていたのか・・・。
頭いってぇ。
「あっ、伊久斗起きてたのか・・・体調はどうだ?」
そう言いながら兄貴は俺の部屋に入ってきた。
「超最悪・・・」
「そんなに辛いのか?まぁ、まず熱測れ」
そう言われて体温計を渡されたから、俺は受け取って脇の下にはさめた。
「お前、恋歌ちゃんとなんかあったろ?」
「うるっせぇ。つか、ニヤけてんじゃねぇよ」
「何があったんだよ」
「兄貴に言うわけねぇだろ」
兄貴には絶対言えるわけがない。
ーピピッ
体温計がなったから、出してみた。
「何度だ?」
言う気になれないから体温計を兄貴に渡した。
「お前、が39.0度も出すなんてめずらしいな」
そう言いながら、兄貴は俺の部屋を出て行った。
下からは兄貴とおふくろが俺のことを話してる声がかすかに聞こえた。
まぁ、まず寝てよ・・・。
~♪~♪・・・
こんな時に誰だ?
ーFrom 麻優
麻優!!
“恋歌とはどうだった?言っておくけど、俺の今までの全部お芝居だから(笑)”
はぁ?お芝居?
どういうことだ?
恋歌を好きだってのは嘘なのか?
“それって本当のことなのか?”
麻優って俺にそんな嘘つく奴だったか?
~♪~♪・・・
“ごめん、嘘。”
え?つまりどういうことだ?
何に対しての嘘?
“ごめん、どういうことだかよく理解ができない・・・”
結局は、恋歌のことを好きなふりをしてたのか?
それとも本気で恋歌のことが好きだったのか?
~♪~♪・・・
あれ、メールかと思って携帯を開いたら、今度は電話だった。
「もしもし」
『伊久斗、今日は殴って悪かった』
あぁ、そうだった。
俺、麻優に殴られたんだった。
そんなことすっかり忘れてた。
「いや、全然大丈夫。てか、もう忘れてたし」
『なんだよそれ。忘れんの早すぎだろ』
「いや、そんなこと忘れさせるようなことがあったから」
『それは恋歌とうまくいったってことか?』