紅蓮の鬼外伝


「お前さ、学校にいた時は演技してたんだろ?素が8割で」


「……否定はせんがな」


「へー」


俺はニヤニヤしながら彼女を見る。


「………なにを企んでいる」


鋭い淋の目が俺に刺さった。


「その演技でこれやって」


そう言って俺は持っている漫画を彼女に差し出す。


「………何故……」


漫画を読み終わった淋が、何やらドス黒いオーラを纏いながら俺を睨む。


「いーじゃん別にぃー。俺ら夫婦なのにそれらしいことしたことねぇしー」


「馬鹿者。あれは表向きだ」


「えー」


「えーじゃない。大体何なんだ、この話は」


「変なとこあった?」


「主人公が泣けば男が口を吸って、泣き止んだと思ったら二人が喧嘩して」


「ものすんごい無茶苦茶な要約だな」


俺は呆れた顔で淋を見る。


「そして主人公がまた泣いて男が口を吸う」


「いーじゃんいーじゃん。そうやってこの二人は愛を深めていくんだって」


「こっ、こんな破廉恥なことできるかっ」


淋は顔を真っ赤にさせながらそう言い、男が女を押し倒して、何やらそういう雰囲気を醸し出しているシーンを俺に見せる。


「…………………」


――流石に俺も無理かな


絶対そのノリで淋を襲って空木に殺されるわ。



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