紅蓮の鬼外伝
俺と竜胆の間で沈黙の時が暫し流れる。
「…すまなかった、水陰」
俺と目を合わせずにポツリと言い、沈黙を破ったのは竜胆だった。
何のことかサッパリ分かんなかったけど、竜胆曰く、咄嗟に身を挺して俺を銃弾の雨から守ってさっさと逃がす予定で、俺を危険な目に晒さない予定だったらしい。
それに自分のように内臓取られたら嫌だから。
でも結局は、俺が竜胆に食い込んだ銃弾を抜いていて、俺を危険な目に遇わせてしまった。
そのことに関する謝罪だった。
「…………………」
それを聞いて、俺は半目になる。
「…………………」
「…………………」
竜胆と俺の目が合う。
「…………………」
「…………………」
「馬鹿だろ」
「え。」
「馬鹿」
「…………………」
俺がそういうと、竜胆は口をへの時にして面食らったような顔した。
「…………………」
そしてすぐに子供みたいに外方を向く。
どうやら心外らしい。
「なんで竜胆が謝んだよ、ばーか」
俺はそう言いながら彼女の頭をぽんぽん叩く。
竜胆の頭がちょうど手の届く場所にあるのでついついやってしまう。
「お前がああやって俺のこと守ってなかったら、俺が竜胆みたいになってたわけだし」
彼女を叩く手を、止める。
「竜胆が謝るのは筋違いだ」
ザァア…と風が俺と竜胆の間を吹き抜けた。