紅蓮の鬼外伝


「誰って……」


ここの通路の前方と後方を、さっきドタドタと走ってきた、男の子分ともいえる人間たちにふさがれる。


千秋は困ったように「うーん」と唸る。


そして「あ、そっか」と、一人で解決した。


――いや、何が!!?


なんて思っているのは俺だけみたいで、男は子分たちに震える声で指示する。


「……な、なんか気持ち悪いからオメーらやっちまえ!!!」


――うそぉ!!?


なんか気持ち悪いからって、それ理由!!?


子分たちは千秋に襲い掛かり、千秋は一人一人に手刀で気絶させていく。


そんな時、千秋が口角を上げるのが見えた。


「なんでそんなに嬉しそうな声音で言うんだよ」


――いや、どう考えても嬉しそうじゃねえよ!!?


「なんなんだよ、お前ぇ!!?――ぐふっ」


なぜか千秋と会話が出来ないことに気づいた男は、ほぼ泣きそうな顔でそう言い、千秋に気絶させられた。


あ、意外と弱い。



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