紅蓮の鬼外伝


「俺、そんなに変?」


終わった後に、まるで誰かに話しかけるように千秋が言った。


「……当てになんねー…」


一定の間をおいて、彼はそう言い、空を見た。


――誰と話してんだろ?


「…うわ……」


そして地面に目を移した。


そこにはさっき千秋が気絶させた人間だらけだった。


「分かってっけどよー……歩きにくっ」


彼はそう言いながら歩いていく。


――マジで誰と話してんだろ?


「千秋、お前ホント誰と話してんの?」


気になって仕方がない俺は声をかけた。


「あ」


顔を上げた千秋の顔には、「何でこんなとこにいんの?」と大きく書かれていた。



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