紅蓮の鬼外伝


俺は赤鬼。


そして赤鬼の里、つまり俺らの山々に囲まれた里は、山紫水明の場所だ。


夏になったら曙草が咲いて、秋になったら無患子が実を結んで、冬に南天ができて。


そして春には先立って梅が咲く。


俺は季節によって姿を変えるこの山々が好きだ。


そして赤鬼は八人くらいで成り立っている。


他の里も大体こんな感じらしい。


他の里なんて行ったことないから分からないけど。


いや、行ってみたいけど〝行くな〟という掟があるから行ったことはない。


「いっしょに、あそんでください!!!」


ずっと見て、何も言わない俺に痺れを切らせたのだろう。


彼女が言った。


「…………………」


遊ぶっていっても、俺は子守りとかしたことないんだけどな。




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