紅蓮の鬼外伝
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そんな風に思ったことを今でも覚えている。


因みにあの時、淋が着けていた帯留は、他の子供や大人に分からさせる為に長の子供がつけるものである。


でもあの時俺は、里にいる人数が少ないからそんなことしなくても大丈夫だと思っていた。


実際、俺の家族と淋の家族の人数を会わせた時点でもう六人だったから。


あとの二人は俺と年がかなり離れたおっちゃんと、そこそこ離れた雪媛(ユキヒメ)っていう兄貴分。


因みに、俺みたいな年下が〝雪媛〟って呼ぶとシゴかれる。


女みいたな名前だから嫌なんだ、と最初にそう呼んだ時に言っていたが、ずっと子供だった俺と淋は、ユキ兄(にい)が困る顔を見ては笑って、はしゃいでいた。


「…………………」


その後はどうなったんだっけ。


中々思い出せない俺は、目を閉じて記憶を辿った。




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