紅蓮の鬼外伝
壱:暗黙の了解は破るモンじゃない
*****
この里には子供が俺とりんしかいないこともあって、俺らはすぐに打ち解けた。
そんなある日のこと。
暇潰しに、俺とりんがユキ兄のことを呼び捨てにしてみた。
これは暗黙の了解だったから、破ったらどうなるのかという好奇心が働く。
「遊んでくださーい!」
りんがユキ兄に飛びつき、笑顔で言う。
「ん?……今忙しいからもうちょっと待ってな」
彼はそう言い、危ないから離れてと言うようにりんをはがした。
「………………………」
これでは全く面白くないので、俺は彼の名前を叫び、命令した。
ピクリとユキ兄の肩が動き、りんはこれから何が起きるのだろうと、胸を躍らせているような表情を見せた。
「雪媛っ、俺らと遊べやっ」
勿論のこと、あくまで冗談だというように少し笑う。
「…空木……」
どうやらユキ兄にはそんな冗談なんて伝わっていないらしく、物凄い雰囲気を纏って俺の方を向く。
「……………」
それを見てツツーと俺の背中に冷たい汗が伝っていき、ゴクリと生唾を飲む。
その時りんと俺は、そんなユキ兄を見て悟った。
暗黙の了解は破るものじゃないと。
この里には子供が俺とりんしかいないこともあって、俺らはすぐに打ち解けた。
そんなある日のこと。
暇潰しに、俺とりんがユキ兄のことを呼び捨てにしてみた。
これは暗黙の了解だったから、破ったらどうなるのかという好奇心が働く。
「遊んでくださーい!」
りんがユキ兄に飛びつき、笑顔で言う。
「ん?……今忙しいからもうちょっと待ってな」
彼はそう言い、危ないから離れてと言うようにりんをはがした。
「………………………」
これでは全く面白くないので、俺は彼の名前を叫び、命令した。
ピクリとユキ兄の肩が動き、りんはこれから何が起きるのだろうと、胸を躍らせているような表情を見せた。
「雪媛っ、俺らと遊べやっ」
勿論のこと、あくまで冗談だというように少し笑う。
「…空木……」
どうやらユキ兄にはそんな冗談なんて伝わっていないらしく、物凄い雰囲気を纏って俺の方を向く。
「……………」
それを見てツツーと俺の背中に冷たい汗が伝っていき、ゴクリと生唾を飲む。
その時りんと俺は、そんなユキ兄を見て悟った。
暗黙の了解は破るものじゃないと。