紅蓮の鬼外伝
それから暫く経った後、りんがちゃんと灯せたので帰ることができた。
勿論、りんはびしょ濡れだったから俺は自分の帯をほどいて藍の着物を着させた。
俺は襦袢だけど、まぁいいか。
そして俺は濡れて重たくなったりんの着物を持って帰る。
俺が乾かしてあげたいのは山々なんだけど、何故か俺の青い焔は、俺が殺意を抱いているものじゃないと火がつかないし、その対象がなくなるまで高温で燃え上がる。
つまりは、殺しの焔。
ユキ兄や長たちが自分の思い通りに操るのではなく、ただ淡々と命を奪って灰に帰する青。
自分のものを扱えないなんて単に俺が未熟者なのだと思ってたけど違った。
俺の、この青い焔は、元々そういう焔らしい。
まるで鳶が鷹を生んだようだ…周りはそう言っていた。
そういうことがあって、俺は乾かすのを止めておいた。
「……なんで闘うわけでもないのにこんなこと…」
帰路についてりんがポツリと愚痴を漏らし、くしゃみをした。