紅蓮の鬼外伝
弐:当て字ってことにしておこう
それから暫くして、長と彼の妻が亡くなった。


理由は分からない。


もしかしたら、殺されたのかもしれないし、寿命だったのかもしれない。


理由は分からないけど、亡くなった。


そして、長が亡くなったのでユキ兄が赤鬼の新しい長となった。


そんなことがあった、ある日。


彼女が珍しく河原でぼんやりしながら飛び石をしていた。


「探したよ、りん」


俺が声をかけると、彼女は悲しそうな瞳を俺に向けた。


「……よばないでください、私の名」


彼女はそう言い、目を落とした。


「………………」


彼女が落ち込むのも無理ない。


何せ亡くなったのは彼女の両親なのだ。


彼女は幼くして両親を亡くしたのだ。


-----ボチャン


投げやりに石を投げた彼女の肩が震えていた。


それを見た俺は強引にりんを抱き寄せ、撫でる。


「我慢しない、我慢しない」


「…う」


「泣き顔は見えないから」


俺がそう言うと、彼女は堰を切ったように喚き泣く。


耐えれるはずがないんだ。


こんな幼い子供が永久に両親に会えないなんて。


俺といても物足りないはずなんだ。


そんなもどかしさをどう捨てようか。


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