紅蓮の鬼外伝
「きゃあ!!?」
不意に、淋の声が聞こえた。
そして間髪容れずにドサドサッと何かが倒れるような音がした。
「淋!」
その二つの音からして、彼女が何かの下敷きになってしまったんじゃないかという考えが俺の脳裏をかすめた。
俺は急いで彼女の方に行くけど、実際はそんなことなくて、彼女の左手だけが木材の下敷きになっていた。
彼女が怪我していることには変わりないのに、思ったほどじゃなくて少しホッとした。
「空木、」
隣にいるユキ兄が俺を呼ぶ。
「淋の手当てしておいで」
「…はい」
何故か俺はユキ兄の顔が見れなかった。