紅蓮の鬼外伝
俺は家から布を取って来て、木材をどけた。
そして俺は淋を抱きかかえて、傷口を洗うために川へ行く。
彼女とはその間何も喋らなかった。
こんな抱え方したから、てっきり子ども扱いしないでくださいって言われると思ってたけど。
淋は何も言わず、俺の掛け襟にしがみついていた。
「…………………」
彼女をチラリと見て、ふと俺は子供の成長は早いなぁ…と思った。
ついさっきまで、滝の中で火が灯せないって泣いていたのに、一丁前に俺がオスだという理由で避けるなんて。
「フ…」
成長するうえで普通のことなんだけど、俺にはおかしくて笑みがこぼれた。
そんな俺を変だと思ったのか、淋が俺を見た。
思ったより顔が近くて、俺と目が合った彼女は顔を真っ赤にしてプイッと背けて俺の肩に頭を乗せた。
そんな淋がたまらなく愛おしかった。