紅蓮の鬼外伝
――――――――――――――――――――――――――――………
それからひと月と経たない間に、ユキ兄がお嫁さんをもらった。
婚姻の儀式をしている間、直系の家族じゃない俺と淋はその場所を遠くから見ていた。
「綺麗ね、あの女性(ひと)」
「うん」
淋が呟いた。
ユキ兄と夫婦になる女の人は、彼女にばれないように夜な夜な彼女の家族が作ったと思われる、綺麗で豪華な着物を着ていた。
「あ、ユキ兄がニヤけた」
淋はそう言ってクスリと笑った。
「ねぇ、淋。次は俺らの番だね」
俺がユキ兄を見たままそう言うと、淋がこちらを向いた。
「…え?」
彼女から素っ頓狂が声が聞こえて、驚いて淋を見ると、彼女は目を真ん丸にして瞬きをパチパチとさせていた。
まるで初耳だというように。
「……淋?」
「私と空木が…?」
「聞かされてないの?」
混乱している彼女は驚いた顔のまま、コクリと頷いた。