紅蓮の鬼外伝
そして俺は何故か女にお酌をしてもらいながら、一人の少女が弾く音に合わせて舞っている三人の女を見ている。
部屋の隅に呼び子がニコニコしながら俺の様子を見ている。
本当に、何故こうなった。
というか、これが人間たちにとって鬱憤晴らしになるのだろうか。
「……………………」
正直、つまらない。
お酒や料理はおいしいんだけど、余興がつまらない。
というか、もしかして俺、騙された?
「………………………」
サーっと血の気が引いていく。
え、俺本当に人間に騙された?
なんて考えていると、ふと視線を感じた。
目を向けると、べんべんと楽器を引いている少女が心配そうに俺を見ていた。
まだあどけなさが残っている。
彼女は俺と目が合うと慌てて目を逸らし、真剣に楽器を弾き始めた。
「………………………」
さっきから一体あれは何なんだ?
と、急に呼び子が俺と楽器を弾いている少女だけを残し、女たちを引き連れて部屋から出ていった。
何なんだ?
何故出ていったんだ?
降り積もる疑問と、少女との間に広がる沈黙。
どうすればいいのか全く分からない。
彼女は石のように固まって一点を見ているし、かといって俺一人ここから出てもいいのだろうか。
本当にどうすればいいのか全く分からない。