モカブラウンの鍵【完結】
目覚めたら……
「イッテー!」


突然、脇腹に鈍い痛みと共に、どこからか転げ落ちた。

脇腹に手を当て、目を開けると、ダークブルーのカーペットが視界に広がる。

近くにあった弾力のあるものに手をついて立ち上がった。


目の前には、ベッドに座り、シーツを鼻まで上げて、こっちを睨む女がいる。



「おはようございます。佐伯さん」


「杉山ぁぁ! 何で私と同じ部屋で同じベッドに寝てるのよ!」


俺の先輩――佐伯 奈央美――が、書類の間違えを指摘するときのように言ってきた。

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