モカブラウンの鍵【完結】
「俺が料理している間、なに話してたんだよ」

「内緒。女同士の秘密の会話。ガールズトークよ」

「姉ちゃんはガールじゃないと思うけど」

「また、泡かけられたい。それともナオちゃんに涼太の子供の頃のこと話そうか。おねしょがなかなか卒業できなかったこととか、鼻血よく出して、いつも鼻にティッシュを突っ込んでたこととか……」

「ああ、すみませんでした! 姉ちゃんもガールですよ」


姉ちゃんは勝ち誇った顔でキッチンを出て行った。

佐伯さんが姉ちゃんと話して元気になるのはうれしいけど、
2人が仲良くなって、俺のバカみたいな過去が筒抜けになったらどうしよう。


食器が洗い終わり、和室へ行き、布団を下ろした。

納戸にしまってあるシーツやカバーを出し、姉ちゃんに渡した。


「これ、よろしく」

「はいはい。別に涼太がかけてもいいんじゃない?」

「女がいるなら女がやった方がいいだろ。佐伯さんがお風呂出たら、姉ちゃんが入っていいから」


自分の部屋に戻り、ベッドに横になる。

頭の下に手を入れて、天井を眺めた。

昼間にシャワー浴びたし、明日の朝、入ればいいか。

リビングから佐伯さんと姉ちゃんの話し声が聞こえる。

その声を聞きながら、重くなった瞼を閉じた。

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