モカブラウンの鍵【完結】
目を開けると静かだった。


何時だ?

携帯を広げる。

画面には[AM 02:00]と表示されていた。


ベッドから起き上がり、パーカーを羽織って、部屋を出る。

スタンドライトだけが点いた薄暗いリビングには、ソファに座る佐伯さんがいた。


「佐伯さん」

「あ、杉山。ごめん、物音とかした? うるさかった?」


肩にかけてあるクリーム色のストールをかけ直しながら、佐伯さんは小声で言った。


「いいえ。たまたま、目が覚めただけですから。寒くありません? 紅茶でも入れましょうか?」

「お願いします」


ヤカンをコンロにかけ、ティー・バックを出した。

2つのマグカップに熱いお湯を注ぐ。

トレーにマグカップとミルクと砂糖を乗せて、佐伯さんの所へ戻った。

< 107 / 300 >

この作品をシェア

pagetop