モカブラウンの鍵【完結】
「佐伯さん、おはようございます」

「おはよう。ちょっと寝すぎちゃった。朝ごはん作るの、手伝おうと思ってたのに」


佐伯さんの寝起きは姉ちゃんと大違いだ。

いつもより髪の毛がふんわりしていて、あどけない感じがかわいい。


「いいですよ。そんなこと気にしなくて。佐伯さん、洗面所使ってください」

「うん」


洗面所に向う佐伯さんの背中を見つめながら、朝ごはんをテーブルに並べていた。


「いいかんじね。朝からニヤニヤしちゃって」


ボサボサの髪を整え、着替えを済ました姉ちゃんが言った。


「別に普通の会話だろ」

「今日はナオちゃん連れて、どっか行ってきたら?」

「ああ、佐伯さんが外に出る気分だったらな」

「初デート?」

「だったら嬉しいけどね」と、からかう姉ちゃんに嫌味を込めて言ってやった。

姉ちゃんは「ふんっ」と言って、ミネラルウォーターを一気飲みする。


俺は腹壊すぞと思いながらイスに座り、朝刊を広げた。

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