モカブラウンの鍵【完結】
うわ、ダブルで褒められた。

佐伯さんが俺に向ける言葉や動作は些細なことでも、胸を温かくしてくれる。

昨日のソファのことも、深い意味はない。

だた、佐伯さんの優しさが、ああいう行動にでただけだと思う。


「佐伯さん、今日、買い物にでも行きませんか?」

「え?」

「天気もいいし、1日、部屋にこもってるなんて、もったいなくないですか?」

「そうだよ、ナオちゃん。この際、普段は買えない重いものとか買って、涼太に運ばせれば」

佐伯さんは少し考えると「うん。杉山にちょっと付き合って欲しいかな」と言ってくれた。

「はい。車で行った方がいいですか?」

「うん。できれば車の方がいいな」

「わかりました」

朝ごはんを食べ、俺と姉ちゃんが後片付けをしている間に、出かける準備を佐伯さんはしていた。

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