モカブラウンの鍵【完結】
車を止めて、雑貨屋さんに入る。

外壁も、中の壁紙の全てが白い。

所々に売り物でもあるタペストリーが飾られ、白の圧迫感がない。


女性ってこういう感じが好きだよな。清潔感があるからかな。


佐伯さんの後ろを歩きながら、内装の観察をしていた。


あれ、いい匂いがする。


俺たちがいた場所はアロマコーナーだった。

佐伯さんはサンプルをいくつか持って、手で仰ぐようにして香りを確認している。


「アロマ好きなんですか?」

「うん。家でもよくアロマキャンドル使うの」

「へえ。今、持っているの何の香りなんですか?」


手に持っている小さな茶色の小瓶を手渡される。

中にはコットンが入っていて、そこにアロマオイルが染み込ませてあった。


鼻を近づけて、香りを吸い込む。

この香り、どこかで嗅いだ。

しかも、最近。

あ、ストールだ。

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