モカブラウンの鍵【完結】
口の中にあるタコさんウィンナーを飲み込んだ。

いつもより飲み込む音が大きくなる。


それって俺のために作ってきてくれるってことだよな。


佐伯さんは普通にお弁当を食べている。


「いや、忙しい朝に2人分のお弁当は大変じゃないですか?」

「なに言ってるの? 杉山だって料理するんだからわかると思うけど、1人分でも2人分でも大差ないことぐらい。うちの冷蔵庫の整理に付き合ってよ」


ああ、そういうことですか。

そうですよね。

変に期待してしまった。


「そういうことなら協力しますよ。時々は俺の冷蔵庫の整理にも付き合ってください」

「いいわよ。杉山のお弁当楽しみしています」



* * * * *



それ以来、週に1回か2回、お互いの手作り弁当を食べる昼休みが存在するようなった。



ちょっとは進歩だよな、これって。


< 136 / 300 >

この作品をシェア

pagetop