モカブラウンの鍵【完結】
「でさ、お前、佐伯とどうなってるんだ?」

誘導尋問どころかストレートに聞いてきたよ。


「別になにもありませんよ」

「お前さ、佐伯を意識し始めて、何カ月経ってるんだよ」


松下さんの中で『俺が佐伯さんを好き』というのは確定しているらしい。

合ってるからいいけどさ。

わざわざ、そこを聞かれても答えるのも小っ恥ずかしいし。

はっきり実感したのは、元彼との事件からだから。


「4カ月くらいですか」

「もっと長いだろ。去年の9月にあった慰労会からだろ。そしたら半年だぞ」

「仮に半年だからって、どうしたって言うんですか?」

松下さんが大げさに溜息を吐いた。



「お前は初心な中学生かよ」



「俺は自分の気持ちを押し付けるようなことはしたくないんです。特に佐伯さんはプライベートでいろいろあって。最近、落ち着いてきた感じなんです。それに気長に構えるって決めているんで」

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