モカブラウンの鍵【完結】
「来月の頭に『natural jewelry』銀座店のプレオープンセレモニーがあるんだろ。その時にでも、言いたいこと佐伯に言えば?」


突然の話に、焼き鳥の串が喉に刺さりそうになった。

松下さんの顔を見れば、いい案だろという顔でこっちを見ている。

串を皿の端に置く。


「なに言ってるんですか!」

「いいタイミングだろ? せっかくあるチャンスを逃すなよ。そのあとは……ヌフフフフ」

「気持ち悪い笑い方しないでください。それに、変な想像もやめてください。仮になにかあっても、松下さんが想像するようなことをする気はないんで」

「はあ? 男だろ」

「いいんです。付き合うことになってもゆっくり歩み寄りたいです、俺は」

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