モカブラウンの鍵【完結】
いつもは後ろで束ねているダークブランのストレートな髪は、ゆるくウェーブがあって、ざっくりとまとめられている。

サイドはダイヤがついたヘアーピンでとめていた。


濃紺のサテン素材の膝丈のドレス。胸周りはドレープが効かせてあって、裾へ向かって広がっている。

靴も濃紺のハイヒール。肩にはベージュ色のストールがかけてあった。

ストールとお揃いの色のシャンパンゴールドのビーズがたくさん付いたパーティバッグ。


無言で佐伯さんをじっと見つめていた。


「杉山、どうしたの? 服に似合ってないかな?」

「そ、そんなことないです。すごい、あの、いいです。はい、ほ、本当に」

「そう。行こうか」


佐伯さんと並んで歩く。

それだけのことなのに、めちゃくちゃ緊張する。

歩きながら横目で佐伯さんを見た。

直視、できない。今日、大丈夫かな。落ち着け、これから仕事だ。

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