モカブラウンの鍵【完結】
「はあ? だから、なんでだよ」

「喧嘩した」

「またか」


姉ちゃんは幸司さんと喧嘩をすると、必ず実家に帰ってくる。

子どもの家出にしか思えない。

ネクタイを外し、姉ちゃんが座っている反対のソファに座る。

ここまで話しかけているのに、こっちを全く見ようとしない。

相当、機嫌が悪いらしい。


「喧嘩の原因は?」

「私が一生懸命に作った料理にケチ付けた」


当たり前だよ。

姉ちゃんの料理は味がない。

健康のための薄味なんてもんじゃない。

味付けがないんだ。

それでも食べてくれる幸司さんに感謝すべきだろ。

< 155 / 300 >

この作品をシェア

pagetop