モカブラウンの鍵【完結】
アパートの横には小さい公園があった。

そこは小さくてもブランコもジャングルジムもあった。

じっと立っているのも落ち着かなくて、ジャングルジムに寄りかかる。


「杉山」

「はい?」


「3番目の好意。その返事をします」


公園の真ん中に立ち、佐伯さんが俺をじっと見める。

俺も見つめ返す。

空から降りてく月明かりが佐伯さんを照らしている。

それはファンタジー映画のワンシーンのように見えた。



「よろしくお願いします」



そう言って、俺に向かってお辞儀をした。



「いいんですか?」


「う、うん」

「やったー。やったー。俺、佐伯さんのこと大切にします」



俺はバカみたいに叫んでいた。

社会人になって、こんなに叫んだのはいつだったんだろう。

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